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1 成立する犯罪はなにか

窃盗が10年以下の懲役または50万円以下の罰金なのに対して,遺失物等横領罪は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料となります。
判断基準としては「置引きした物を事実上支配していた人がいるかどうか」が重要です。
事実上支配していた者がいる場合は,その占有を侵害したとして,窃盗罪が成立します。
事実上支配していた者がいなければ,占有を離れた他人のものを横領したとして,遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)が成立します。
事実上の支配があるかどうかは,あえて置いていたのかそれとも置き忘れたのか,不特定多数が立入り可能な場所かどうか,該当物から離れていた時間や距離などの事情から総合的に判断されます。
2 具体例
① 銀行での置引き
ATMで前の利用者が取り忘れた紙幣を持ち去るケースがあります。
利用者が取り忘れた直後で,まだ店舗にいれば,被害金に対する事実上の支配が侵害されたとして,窃盗罪が成立する可能性は高いでしょう。
被害者が帰ってしまった場合であっても,銀行の店舗を管理する支店長の支配が及んでいるとして,やはり窃盗罪が成立する余地が十分あります。
②ネットカフェでの置引き
被害者がブースに置いた財布をそのまま持ち去るケースがあります。被害者が,一時的にトイレに行ったり飲み物を用意している間に置引きしたケースでは,被害者の支配が認められ,窃盗罪が成立します。
被害者が帰ってしまった場合,ネットカフェの店舗を管理する店長の支配が及んでいるとして,窃盗罪が成立する余地が十分あります。

3 弁護方針
① 示談をする
起訴,不起訴を決定するのは検察官ですが,検察官は処分の決定に当たって示談を重視しています。
初犯で示談が成立すれば,不起訴となる可能性が高いでしょう。
示談金の額については,被害金額に加えて,ある程度迷惑料として上乗せすることが通常です。
② 専門家の援助を受ける