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1 強制性交等罪が不同意性交罪に改正
大きな改正点としては,被害者の告訴が不要となったこと,暴行脅迫を用いた場合に限られず,同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交を行った場合も犯罪の対象となりました。
2 不同意性交等の際に,負傷させた場合
不同意性交等の際に,被害者を負傷させた場合には,不同意性交等致傷罪が成立します。典型的な場合としては,加害者が被害者に対して,不同意性交等を遂げるため等の目的で意識的に暴行を加えるというケースが考えられます。しかし,加害者が暴行を加えた認識がない場合も考えられます。不同意性交等の際に膣や肛門に怪我を負わせる場合です。
不同意性交等致傷で起訴された場合は,裁判員裁判となります。裁判員裁判では,性犯罪は重く処罰される傾向があり,不同意性交等致傷罪の場合,初犯の方でも長期の実刑となることが多いでしょう。しかしながら,初犯で怪我の程度が全治数日など軽い場合は,起訴前に示談が成立すれば,不起訴となる余地もありますので,罪を認める場合には,起訴前に早期の示談成立を目指した活動を行うべきでしょう。
3 自白事件の場合の弁護方針
① 示談をする
起訴前の弁護活動としては示談が最も重要です。不同意性交等罪は,起訴の条件として告訴が不要とされています。そのため,示談をして告訴を取り下げてもらえれば必ず不起訴になるわけではありません。
しかしながら,不同意性交等罪においては,その性質上,検察官は,起訴不起訴を判断するにあたって,被害者の意思を細やかに確認するものと思われます。示談書に「処罰をもとめない」,「起訴を求めない」「許す」等の文言があり,被害者がその意味を十分に理解した上で示談に応じたと確認される場合には,前科がある等の事情がない限り,不起訴になる余地もあるといえるでしょう。
不同意性交罪の被害者は,非常に大きなショックを受けています。
被害者の心情に寄り添った示談活動が必要でしょう。
② 被害者には接触しない
被害者は,加害者に対して逆恨みされるのではないかと強い恐怖感を抱いています。
そのような恐怖感をなるべく軽減する必要があります。そのためにも加害者は,今後,被害者と一切接触しないようにすべきです。
弁護士を通じてその点を被害者にお伝えし,不安感を軽減するとともに,示談書においても「加害者は今後一切,被害者に接触しない」等と明記するなどすべきでしょう。
③ 転居費用を負担する
住居侵入をしたり,被害者の自宅近くで不同意性交等を行った場合,被害者は加害者に対してまた同じことがあるのではないかと強い恐怖感を抱いています。
被害者が転居を希望する場合は,転居費用を負担することも検討するべきでしょう。
4 否認事件の場合の弁護方針
① 何ら身に覚えがない場合
全く身に覚えがないにもかかわらず,不同意性交等の容疑をかけられてしまった場合,アリバイが存在することを弁護士が検察官・裁判官に主張するなどし,不起訴処分や無罪判決の獲得を目指します。
また,改めてDNA鑑定等の専門家に鑑定を依頼したり,裁判所に対して鑑定を実施するよう請求するなどの方針も考えられます。
② 性行為について相手の同意がある場合